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サラリーマンは自分の収入がある人たちなので、自己負担が増えたから病院にいくのをやめる、という人たちではないと思われるからだ。
でも記したが、もともと日本の国民医療費は世界水準で比較すると低い。
そのうえもうひとつの特徴として、その少ない医療費のなかで65歳以下の医療強の占める割合が極端に低いということがあげられる。
つまり若い人たちはもともと少ない医療費をさらに少ししか使っていないことになる。
たとえば1998年度には老人の一人あたりの医療費は若い世代と比較して、入院で7.3倍、外来で4.3倍と集計された(厚生労働省の資料による)。
これが何を意味するかというと、勤務している人たちはあまり病院にかかっていないということだ。
皆さんの会社をみても、「医者にいく」というと、上司に嫌がられるケースがあるのではないだろうか。
「気合が足りないから、風邪を引くんだ」といった感覚である。
これはぜひ直してほしいと私は思っている。
いずれにせよ、サラリーマンは多少の熱なら我慢するなど、少し非人間的な環境に置かれている。
こんな実状で、サラリーマンはもともとそれほど頻繁に病院にかかることがないため、影響は少ないかもしれない。
ただ、患者としての気持ちはかなり変化すると思われる。
「まえがき」でも少し書いたことだが、自己負担の額が3割になると、払えない額ではないかもしれないが、気分的に「嫌だな」「払いたくないな」という気持ちは結構出てくるはずだ。
つまりサラリーマンが「このお金は何ですか」というように明細を尋ねるようなケースが増えるのではないかと予想している。
病院によって初診料が違うのは?ある病院に初めて受診する費用を初診料というが、この初診料が5000円のところがあったり、500円のところがあったりする。
現在の制度では、初診料というのは自由に決めることができる。
実は日本の現行の保険制度では、医療機関が自由に請求額を決められるものというのは極めて少ない。
初診料は、「特定療養費制度」という考え方が1984年に導入されて、そのなかで特例として位置付けられている。
これを詳しく説明しよう。
普通、日本の医療において値段は公定になる。
ここをちょっと不思議に思われる方がいるかもしれない。
つまり「同じ医師にかかっても毎回値段が違うのに、公定とは何だ」といわれるかもしれない。
何が決まっているかというと、病院に対して保険者から支払われるお金が決まっているわけだ。
つまりある行為、たとえば点滴を打ったらいくら、注射を打ったらいくら、薬を処方したらいくらというように、公定で診療報酬が決まっているという意味で公定価格になっていて、患者が支払う額が毎回違うのは、行った行為の組み合わせが違うからで、病院側としての行為別の額は同じなのだ。
これを「診療報酬」という。
つまりたとえば注射を一本打ったときに、自分は注射の打ち方がうまいから2倍のお金を請求するといったことはできない。
しかし、診療報酬すべてがそのように差がない形ではよくないという話が出てきた。
そこで、一部のものに対しては値段を変えてもいいというルールができている。
それが、国が付けた名前で複雑なのだが「特定療養費制度」というものである。
この制度が導入されて、初診料は値段の差をつけられることになった。
厳密には紹介状のない場合で、かつ200床以上の病院に最初から診察を頼む場合の初診料には差をつけられることになったわけだ。
それで初診料が5000円のところと500円のところがあるのだ。
K大学病院などがそうだが、この5000円という値段には国からの根拠はない。
いいかえれば、この値段設定は、病院に任されている。
つまり、5000円の初診料でも気にせずに受診する人が多いだろうと思っている病院は高く付けているわけだ。
しかし、地方の病院などはそれほど高い初診料をとれないから、1500円にしたり、もっと安いところもある。
これは、市場原理という言い方をした方がわかりやすいかもしれない。
ただ、マクドナルドハンバーガーのような他の消費財では消費者の態度によって値段がよく変わるが、病院が初診料を頻繁に変えているかというと、そういうことはない。
だいたい最初に決めた値段でずっとやっている。
裏を返すと、患者はさほど自己負担に敏感ではないともいえるだろう。
同じ病気で支払う額が違う不思議同じ処置をしてもらったのに、日によって請求額が違うというご経験をお持ちの方はいないだろうか。
この疑問に答えるためには、まず「診療報酬」制度という非常に複雑な仕組みを、確認しておく必要がある。
簡単にいえば病院が保険者からお金をもらうときに、どんな医療をしたらいくらもらえるかを決めている値段が「診療報酬」である。
つまり「診療報酬」が高いということは、ある医療、たとえば点滴をしたときに病院がもらえるお金が多いことを示す。
だからこの値段(診療報酬)が高ければ高いほど病院にとっては、儲かるということになる。
この「診療報酬」は点数制で、1点が10円になっているので、10点の診療で100円になる。
2年に1回診療報酬が載っている診療報酬点数表が改定されることで、金額が変化する。
同じ病気でも支払う額が違うというのも、まさにこの現行の仕組みが原因である。
つまり保険者から医師への支払いの仕組みである診療報酬制度の複雑さが原因なのだ。
さらにこの原因を細かく分けると2つ理由があって、ひとつは診療報酬上の公定料金の組み合わせで医療費が決まるので、実は患者が気づかないところで組み合わせが変わっているということがある。
たとえば、患者にとって同じようにみえても、注射の内容が多少変わっていたりすることもあろう。
もうひとつは、診療報酬上で月に1回だけ算定(請求)できる料金がある。
たとえば糖尿病や高血圧症のような慢性疾患に対する、指導料というものがある。
いまは生活習慣病指導管理料と名前が変わったが、こういった指導料は、診察したら毎回患者に請求するのではなく、月に1回だけ請求できる。
その値段が、自己負担として追加されるから、この請求があった月は支払い額が高くなるわけだ。
おおざっぱにいって、診療所の初診料は紹介の有無や、時間帯によっても違うが、270点、つまり2700円になる。
また再診料も、受診がその月で何回目かによっても違うが、ある月の2回目の診察、つまり1回目の再診の場合には、81点になっている。
患者側が自分の支払うお金についていろいろ考えるようになってくると、診療報酬制度自体に何らかの改革がないと、医療機関側も説明しきれないという事態が出てくると思われる。
いまのように詳しく説明すればわかってもらえると思うが、一人一人にそれを説明していたらたいへんな労力になる。
医療機関側からしても、すべての患者にこんな制度だということをいわなければいけないというのはたいへんだし、また、患者側も「そんなに面倒なことをごちゃごちゃ教えてもらわなくてもいい」という人の方が多いであろう。
身をもって経験したアメリカ医療私事であるが、1995年時のアメリカ留学中に日本では考えられない光景をいくつか目にした。
まずは、保険料についてである。
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